2006年05月07日

飢饉の中国農民 旧日本軍が救う 作家・劉震雲さん史実題材に小説 福岡の書店が翻訳本 「戦争の愚かさ一端表す」

西日本新聞 5月6日17時1分
飢饉の中国農民 旧日本軍が救う 作家・劉震雲さん史実題材に小説 福岡の書店が翻訳本 「戦争の愚かさ一端表す」

 日中戦争の最中の1942年、大飢饉(ききん)に苦しむ中国河南省の農民を救ったのは旧日本軍だった―。こんな史実を題材にした中国人作家の小説「温故一九四二」が、福岡市の出版社「中国書店」から翻訳出版された。著者の劉震雲さん(47)=北京市在住=は「中日関係が極端に冷え込んだこの時期に日本で翻訳出版されるのは意義深い」と話している。 (北京・傍示文昭)

 同小説は「中国の山田洋次」と称される馮小剛監督による映画化が決定。ハリウッドスターらとの出演交渉が続いており、早ければ年末にも撮影が始まる予定だ。

 河南省出身の劉さんは、歴史研究家の友人の依頼で、干ばつと中国軍の容赦ない食糧の取り立てにより、餓死者300万人、避難民3000万人を出した42―43年の大飢饉を調査。故郷を歩き、祖母や伯父らへのインタビューを重ね、当時の新聞記事など資料を収集するうちに、農民に食糧を提供して餓死から救ったのは、同省に侵攻した旧日本軍だったという史実を知ったという。

 この食糧は他の中国人から収奪したものだったが、餓死しないことを選択した農民は旧日本軍に協力し、猟銃や農具で武装して決起。農民を見捨てた中国軍を武装解除させた。劉さんは「表向きは戦争や政治が歴史を変えたかもしれないが、本当の意味で歴史を動かしたのは『農民のご飯』という生きるための欲求だった」という事実に注目。93年、小説として発表し、今も重版が続くロングセラーとなっている。

 劉さんは「中国に侵略した日本軍の行為の一部を美化するつもりはないが、農民が生きるために収穫した穀物が中国人によって収奪され、日本人によって農民に返されるという皮肉が、戦争そのものの愚かさの一端を表している」と分析した上で、中国軍を率いた国民党の蒋介石が敗走した最大の要因は「日本との戦争でも、共産党との内戦でもなく、農民を尊重することを忘れたためだ」と強調する。

 映画化に向け、劉さんは馮監督とともに再び故郷を歩き、小説をベースにほぼ2年をかけて脚本も執筆したという。「河南省の農民は今も貧しく、五輪に向けて建設ラッシュが続く北京の工事現場を支えている労働者の多くは河南省の元農民」。劉さんは小説や映画をきっかけに、そんな故郷の厳しい現実も知ってほしいと訴えている。1600円。中国書店=092(271)3767。


posted by yoppo at 03:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。